日航機と海上保安庁機衝突 公開された情報への疑問

 

 2024年1月2日夕刻、東京羽田空港で発生した日航機と海上保安庁機の衝突事故におきましては、お亡くなりになられた5名の方とご遺族の方に心より哀悼の意を表させていただきます。


 今のところ海上保安庁機が離陸許可が出ないままに滑走路に進入し、また管制官も誤進入を警告する警告灯に気づかなかったことが指摘されています。

 しかしながら、海上保安庁機が滑走路上で約40秒停止していたにも関わらず、日航機は何故海上保安庁機の存在を把握してゴーアラウンド(着陸復行)できなかったのか、さらに日航機が静止後に乗客が脱出を開始するまで何故6分間もの時間を要したのかが疑問です。

 日航機の乗客乗員に死者が出なかったことは賞賛に値することではありますが、90秒ルールが守られなかったこと、日航機のパイロットが脱出の際にどのような役割を果たしたのかが今のところ明らかにされていません。

  90秒ルールとは米国連邦航空局(FAA)が定めた商用機の安全基準で、機内の全非常用脱出口の半分以下を使って、事故発生から90秒以内に乗客・乗員全員が脱出できるような構造にすることと定めた規定です。

 2007年8月20日に那覇空港で発生した中華航空B737型機火災事故では、このルールをもとにした乗員の避難誘導により、乗客・乗員全員(165名)が火災発生から60秒前後で全員機外へ脱出して、ひとりの死者も出ませんでした。

 今回はドアの開放まで約6分、全員脱出まで18分を要しています。この間に火災による爆発が起きれば、大惨事になっていたことでしょう。
  
 開放可能な非常口を見つけることに関しては、A350のコクピット天井には左右に非常脱出口があるので、ここからパイロットが身を乗り出して火災の様子を見ることはできなかったのでしょうか。

 キャビンとコクピット間のインターフォンが故障していたのなら、何故直接コクピットに向かわなかったのか、あるいはコクピットクルーが客室で直接指示しなかったのか、コクピットクルーは非常脱出の際にどんな役割を果たしたのか、疑問だらけの脱出劇です。
 
 海上保安機側と管制のミスの可能性のみが指摘され、日航機が海上保安機を何故視認できなかったかの指摘と日航機のパイロットからの聞き取り内容が非常に少ないように思います。

 今回日航機側に死者が出なかったことは賞賛に値しますが、単なる美談としてではなく、緊急時の対応として今後に生かすことが大切だと思います。

【羽田“航空機衝突”】カメラがとらえた衝突直前の海保機、一部始終【鮮明化映像】

3人以上で聞いていたが、管制官の指示を取り違えか…JAL機と衝突炎上の海上保安庁機
(画像は読売新聞オンラインからの引用です)

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