老いと死の超克について

 老いと死は万人に対して公平に訪れます。
 死を意識してばかりは生きられませんが、生き方を模索する上では死への洞察を深めることは大切だと思います。

 写真家ユージン・スミス(Eugene Smith)のThe Walk to Paradise Gardenは「楽園への歩み」と和訳されることもあるようですが、私は「天国への歩み」と解釈しています。写真に映る二人の子供の後ろ姿は、人生の時間経過とその先にやって来る死、さらにユダヤ教やキリスト教で天国(Paradaise)と呼んでいる場所への誘いのように感じるからです。

 さて、最近「成熟のための心理童話」(アラン・B・チネン、羽田詩津子訳、早川書房)を読みました。秦氏の和訳は非常に読みやすく、作者の意図がよく伝わってい他のを感じました。
原題はIN THE EVER AFTER(Fairly Tales and the second half of Life)です。

 アラン・B・チネン(Allan B Chinen)はユング派の精神分析医ですが、この本では老人を主人公とした老年童話から、自己認識、自己超越を核とした人間の成熟のイメージを抽出し、人が後半の人生で取り組まねばならぬ課題とその解決への糸口を示唆してくれる非常に奥深い内容になっています。

The Walk to Paradise Garden(1946)
Eugene Smith


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