刹那瞬と一念三千 〜 明日は明日の風が吹く 〜

 もう10年以上前もなりますが、ある内科医が私にこんなことを話してくれました。

 悩んでいる人は、今の状況がずっと続くと考えがちだが、世の中というのは目まぐるしい速度で変化していることを気づけば、少しは気が楽になるのではないかと。植物の成長を見ても、朝方の短い時間に花びらが開花し、またいつの間にかそれが閉じられています。海に沈む太陽を見ると、地球の自転が凄まじい速さであることを体感します。
 今という時は、次々と変貌を遂げながら未来がやって来ます。

 仏教の教えの中の一念三千という言葉の神秘性と深さに想いを寄せることがあります。現代の量子論からも、時間は10のマイナス44乗の間隔をもって移り変わことがわかっています。その刹那瞬の中に、未来も現在も過去も、すなわち宇宙の全存在が包摂されているというのが一念三千という考え方です。現代量子論という視点からも、時間はどちらかの方向に流れるのではなく、離散的な存在のようです。しかもアインシュタイン以降、時間と空間は同じように扱えるようになりました。要は自分の未来は自分で選択しうるのです。過去がこうだったから、未来もこうなるはずという運命論的な思考は悩みを深くするばかりです遺伝子情報ですら、後天的に変えられることが判明しているのです。

 私自身、過去を悔やみ、未来を憂うことがないわけではありません。しかし、還暦を過ぎた頃から、今という刹那瞬を生き抜くことが最善の選択であるという確信には至ったような気がしています。

 明治生まれの祖父が、「明日は明日の風が吹く」と口癖のように言っていたのを思い出します。今にしてその境地が理解できるような気がします。
 写真は北大西洋に沈む夕陽。ユーラシア大陸の西の果て、リスボン近郊のカスカイスの海岸にて。
 飛行機で東西に飛ぶと、地球が自転する速度を間接的に感じるますが、何と言っても日没時の数分間にその速度を実感します。

「いまここ」を生きるということ

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