集団心理という観点から、組織のチーム編成(チームビルディング)に大切なことをお伝えします。
チームを編成する場合にメンバーの感情が露骨にぶつかり合う時期をストーミング、すなわち嵐の時期と呼びます。
ストーミングは感情のぶつかり合いが起きるので、メンバーの心に葛藤が生じるものの、将来の発展のためには大変重要なプロセスです。
ストーミングが発生するには、それを受け止めるだけの環境作りが必要です。
ところが日本の多くの組織において、その環境作りに耐えうるリーダーが養成されていないのです。それが故に安易に「仲良しクラブ」が生まれてしまうことが多く、チームの次の発展につながりません。仲が良いこと自体は結構なことなのですが、平時はいざ知らず、最大限のパフォーマンスで有事を乗り切れるだけのチームを作るにはストーミングを乗り切る精神力を養うことが大切です。
ストーミングを乗り切った後に来るのが、パフォーミングです。チームが最大の力を発揮できる時期です。会社のチームのみならず、スポーツの団体競技などにおいても、ストーミングという嵐の時期を乗り越えてこそ、待望の収穫の時期、すなわちパフォーミングが訪れるのです。
そして最後に組織を異動する、あるいは組織を去る際も同じです。この時期はトランスフォーミング、すなわち個人の変革の時期、場合によっては組織の変革や解散の時期です。
そのためにはそれまで続いていた個人や組織のタスクを完了させなくてはなりません。それが個人であれば、相手の顔色を見ながらタスク完了の判断を下すのであれば、相手に依存することになります。
それではタスク完了を躊躇する理由を相手のせいにしてしまうことになりかねません。自らの判断を相手の顔色に依存するのではなく、自分の責任において選択する、これがアダルトな生き方というものです。
ちなみに、リーダーはボスとは異なります。リーダーは命令を下して部下を従わせることが本分ではなく、自分と同じような能力とリーダーシップを持った部下を養成することが本分です。
日本の高度成長期に組織を支えてきた人の多くが、太平洋戦争経験者です。同じく欧米においても第2次世界大戦を経験した軍人が、戦後の経済活動の中心にいました。特に日本の場合は軍隊で経験した同じ窯の飯を食う仲間という集団意識が、ピラミッド型の組織と命令系統を作り出したと言えます。
戦争を知らない世代が経済活動の中核となった今、個々人の価値観の変容や組織のイノベーションの必要性から、今後は従来の組織構造に変革を迫られることになることでしょう。
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