モーツアルトと共に、折りに触れては聴くグレゴリオ聖歌。フランスの耳鼻咽喉科医アルフレッド・トマティス博士の著書を読んだのがきっかけで、少々くたびれたなと思ったときに聞くようにしています。
フランスのベネディクト派修道院で聖歌の歌唱を廃止することが決まった直後から、修道士たちの体調不調が始まりました。
トマティス博士は、修道士たちの聴力を回復させることにより、彼らの健康を回復させたとのこと。耳と聴覚がいかに人間の生活に大きな影響を与えているかについて知っただけでも、トマティス博士の著書は衝撃的でした。
高周波数帯域の音を多く含む英国英語、ドイツ語、ロシア語などを母国語とする人たちが、低周波数のラテン系の言語を難なく習得する一方で、その反対は難しいとの理論です。日本語もフランス語も低周波数帯域の音を多く含むため、それぞれを母国語とする人は、北ヨーロッパの言語を学ぶことが難しいのです。音としては聞き取れても、言語として聴き取れるかがポイントになります。
トマティス博士は高周波数の音が、外耳のコルティ細胞を刺激して、それが脳を活性化してエネルギーをチャージする理論を提唱しています。フランス国内でも賛否両論があるようですが、私自身について言えば、このメソッドが日本に導入された直後の90年台前半に、聴覚トレーニングを受けてみてその効果を体感しました。
当時トマティスメソッドのセンターは東京の六本木のロアビル内にありました。トレーニングが進んでしばらくすると、六本木駅で出会う外国人の英語がよく聴き取れるようになっていたのです。
元々トマティスメソッドは、心の傷を負った人の耳を疑似的にお母さんの胎内に戻し、耳の再誕生をさせることで心の傷を修復するメソッドです。これが語学への応用、すなわち新たな言語のネイティブとして耳を再誕生させるというメソッドとしてプログラムされたのです。
このメソッドを知ってからは、モーツァルトのバイオリンなどに含まれる20000Hz以上の音を再生できないCDの限界がもどかしく感じられるようになりました。
ハイレゾ音源に期待する今日この頃です。
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