怠慢ばかりを原因にすべきでない園児置き去り事故対策

 2022年11月12日大阪の岸和田市で、2歳の保育園児が自動車の中に置き去りにされ、熱中症で死亡する痛ましい事故が起きました。父親が保育園に子供を預けたものと思い込んで、自動車の中に置き去りにしてしまったことが原因とのことです。これまでも子供が送迎バスや自動車の中に置き去りにされて死亡する事故が繰り返されました。

 親がパチンコをするなど、明らかな怠慢は論外としても、うっかり忘れてしまった、あるいは思い込んでしまったことを、必ずしも怠慢と責められない状況があることを理解する必要があります。すなわち、今回の父親のように日常的な行動が繰り返されると、実行したかしなかったかを取り違えることが起きるのです。

 家のドアに鍵をかける、電気を消すなど、無意識下の行動については、後から振り返るとしたかしなかったか思い出せないことがあります。また過去の記憶をその時の記憶のように錯覚して、いなかったことをしたかのように錯覚することがあります。毎日飲む薬を飲んだかの飲まなかったかを忘れた経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
 
 この父親の場合は、子供を保育園に預けたかどうかわからなかったというよりも、むしろ子供を保育園に送り届けたと確信してしまい、疑う余地がなかったのではないかと想像します。もし疑うことがあれば、恐らく車の中を確かめたことでしょう。


 こうした状況を受けて、保育園の送迎バスに子供の置き去りを防止する装置を取り付ける試みがなされているようです。一方今回の事故が起きる前に、送迎バスに置き去りにされた男児が、バスのクラクションを鳴らすことで、バスから離れようとして運転手が気がついたというケースがあります。親御さんが普段から子供に対して、バスのクラクションを鳴らすことを教えていたそうですが、装置の取り付け以外にもこうした人間系の事故を未然に防止する創意工夫は大切だと思います。

(画像は、園児置き去り事故が事故が起きた『川崎幼稚園』の通園バス(公式HPより))

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