日本脱出と海外移住

 リスボンで日本のテレビを見ていたら、日本人や日本在住の外国人の中に、日本の賃金低下や円安を理由に日本以外の国に移り住む人がいるというニュースを放送していました。私が移住を検討していた5、6年前、アメリカ人の大物投資家が、日本の景気後退でいずれ日本人が東南アジアなどに出稼ぎに行くようになると言っていました。その頃は半信半疑でしたが、今回のニュースでまさにその通りになってきたと思いました。

 介護の仕事をする東南アジアからの人は、台湾やシンガポールの富裕層を目掛けて仕事を探しに出かけたり、日本人は寿司職人や美容師が引く手あまたとのことでした。すべてが成功する事例ばかりではないとのことでしたが、成功例として物価は高いもののオーストラリアでより賃金の高い仕事を見つけて生活が豊かになった日本人の事例を取り上げていました。
 私の予想では、日本の不況はこれからも長引くと予想されるので、こうした状況は続くように思います。
 日本人は他のアジアの人たちに比べると、海外移住に対してやや抵抗が大きいように思います。島国に長年住み慣れるとそうしたことも仕方がないとは言え、思い切って海外移住してみるとそこでの新しい人生が始まることも少なくないと思います。私自身もポルトガルに来て、まさに目から鱗の感を強くしています。

さて、私どもが海外移住を決意し、ポルトガルへの移住を決めた経緯について書かせていただきます。元々私どもはいずれ海外に住みたいと思っていました。それは海外への憧れとともに、日本に住み続けることがいろいろな点がリスクがあると感じた点にあります。
 そこで私の定年退職を機に海外に移住することにしたのです。会社にあと5年程度は残ることもできたのですが、給料は激減し仕事の内容にも魅力を感じなかったので迷わず定年で辞めることにしました。

  最初に考えたのはハワイです。不動産を購入することでアメリカのグリーンカードを取得する方法を検討しましたが、ビザが降りるまでの間ハワイに滞在するには学校に通うなどしなくてはならないことがわかりました。しかも近年はただ在籍するだけでなく、しっかりと勉強しなくてはならいと聞き、この年からは辛いと判断し断念しました。さらに福島原発事故による太平洋の汚染で、魚をいただくことへの懸念がありました。
 次に検討したのはバンコクです。バンコクには2度ほど出かけ、2度目はすでに銀行口座開設の手続きに至ったのですが、タイ政府の自動車所有奨励策のためバンコク市内が渋滞と排ガスがひどかったのを理由に断念しました。それに加え、雨季や暑気の暑さや冷房の強さも住むことに対して消極的になりました。チェンマイも訪問しましたが、焼畑農業の煙と最近ではPM2.5が中国から流れてくるという話があり、こちらも断念しました。バンコクとチェンマイで驚いたのは非常にレベルの高い私立病院が存在した点です。

 そして2度目のバンコク滞在中にたまたま耳にしたのがポルトガルのゴールデンビザです。ヨーロッパに住むことは難しいという先入観があったので、このチャンスを掴もうと早速4ヶ月後にリスボンを訪問し不動産契約を結びました。
 私どもも移住した当初は勝手が分からず戸惑うこともありましたが、今ではすっかりこの国に魅了され、日々の生活を楽しんでいます。

 台湾有事や地震発生のリスク、そして経済の低迷などの理由で海外に出ることは消極的かもしれませんが、一方自分の気に入った国が見つかればラッキーなことではないかと思います。消極的な理由以外に、移住する先の国の魅力と将来への期待をぜひ見つけていただきたいと思いまう。
 海外でのビザ取得は年々ハードルが高くなる傾向があります。そこで海外移住をお考えであれば、なるべく早い時期から準備を進めることが大切と考えています。
その際には、人からの情報だけでなく、ご自身が現地を訪問して自分の感性やライフスタイル合うかどうかを決めることが大切だと思います。
 
 なお不動産投資ビザはある程度の費用がかかり、また雇用ビザは能力とチャンスが必要です。一方リタイアメントビザについては条件さえ整えば、取得のハードルはそれほど高くありません。
 
 写真はバンコクで不動産を下見している際に出会った魅力的な物件のプールです。

ポルトガルの首相が、政府がゴールデンビザの中止を検討していると発言
Portugal’s PM Says Govt. Considers Closing Golden Visa

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