ロシアのウクライナ侵攻に関して、ウクライナの内政問題を指摘する意見を耳にします。確かにウクライナ国内では、ネオナチと呼ばれる過激集団によるロシア系住民の虐殺や、汚職、ゼレンスキー大統領の言論統制など問題は多々あります。
しかしこうしたウクライナの内政問題を理由に、ロシアがウクライナに侵攻する大義名分はありません。これはウクライナの主権を侵害する行為であり、数多くの国際法違反を犯している戦争犯罪に他なりません。とりわけ民間人への残虐行為は言語道断と言えます。
ゼレンスキー大統領を英雄、プーチン大統領を悪者にする構図はおかしいとの指摘もありますが、ウクライナの内政を今回の戦争犯罪は切り離して考えるべきです。ネオコンや武器商人の暗躍のせいにすることも然り、開戦を決断したのはプーチン大統領に他ならないのです。
プーチン大統領は、ウクライナのロシア系住民を救うための軍事作戦で戦争ではないとうそぶいていますが、これほどの残虐行為と軍事侵攻は戦争犯罪以外の何者でもなく、プーチン大統領は戦争犯罪者として国際社会から糾弾されるべきです。もしロシア系住民を本気で救いたいのであれば、キエフを攻撃することもなく、ウクライナ人を虐殺することもなく、他にもっと建設的な解決方法があったでしょう。まさにウクライナの内政の混乱に便乗した、極めて利己的な侵略戦争と言えます。
ロシアはこの戦争に勝っても負けても、国家の衰退は免れることはできません。しかもプーチン大統領は自身の失脚のリスクも抱えているわけで、これほどまでの戦略上の敗北に向かった理由が釈然としません。日本ではあまり報道されませんが、全ロシア将校協会がこの戦争前に、プーチン大統領の辞任を求める書簡を発表しました。この書簡に書かれている国際社会からの孤立への懸念がほぼ現実のものになった現在、そもそもプーチン大統領の求心力が相当薄れてきているように思えてなりません。
さらにプーチン大統領の病に関する懸念もささやかれていますが、残虐行為の陰でロシア正教会で平和への祈りを捧げるプーチン大統領の姿を見ると、その精神面を心底疑いたくもなります。 今回の戦争でウクライナ国民もロシア国民も失うものはあまりにも大きく、さらに国際社会においても経済を始めとする大きな混乱を生じています。
ウクライナの内政、ネオコン、武器商人、バイデン政権の失政を論じるのは構いませんが、それよりももっと大事なことは、何と言ってもこの戦争犯罪に終止符を打ち、人命がこれ以上失われることを防ぐ以外にありません。
画像は数日前、黒海付近を飛行していた、米空軍の空中給油機、Boeing KC-135R Stratotankerの航跡です。
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