この世から貨幣や紙幣がなくなったことを想像してみて下さい。
当初は社会が混乱するでしょうが、お百姓さんが働けば農作物が取れて
食料は確保できます。
大工さんが働いてくれれば家も建てられます。
洋服屋さんが働いてくれれば着るものには困りません。
本質的には人の生産活動による広義の「モノ」が私たちの生活を支えているのであって、お金はそれを媒体にする手段にしか過ぎません。
国家というレベルにおいては、例えば家庭菜園を作って野菜を自給したとしても、GDPには影響を与えません。しかし個人の生活においては食生活は豊かになるわけです。
もちろん貨幣経済を脱却して自給や物々交換に移行すれば、不便なことこの上ないことは想像できますが、経済の本質を理解するためには、お金ではなく広義の「モノ」が経済を支えていることの本質を理解しておくことが大切です。
お金そのものには、金貨や銀貨などでない限りは価値はさほどありません。とりわけ紙幣は場合によってはただの紙切れです。それに対して「モノ」は摩耗したり消費したりしない限りは、その根源的な価値は変わりません。
金本位制の時代には、通貨の裏付けに金の保有がありました。ところが信用経済になってからは紙幣は刷り放題になり、実体経済とは乖離するようになりました。
通帳に書かれている数字は、コンピューターの中に記述されているデータに過ぎず、ほとんどの国において、流通している紙幣と生産活動とは連動していません。
なお金融資本主義においては、金利の存在のために経済がインフレになる傾向はやむを得ないことであり、さらに失業率を低下させようとすればインフレが発生し、インフレを抑制しようとすれば失業率が高くなることを表したフィリップス曲線によると、インフレ率2%くらいが経済と雇用のバランスを維持するのに適当と言われています。
従って、物価が上がることを前提に資産を増やす必要があるにも関わらず、2022年末現在、日本においては銀行預金の低金利、物価高、そして低賃金は生活を圧迫する要因になっています。
2023年移行、さらに大きなインフレが到来することを予想するメディアや経済学者が存在ます。インフレになった際には貨幣の価値が相対的に低下しますので、個人においては資産の目減のリスクに備える必要があります。
さらに国家レベルにおいては、ハイパーインフレになっても国民の生活を維持できるだけの「モノ」の確保が重要になります。
エネルギーや食料などの調達を輸入に頼っている日本はその点において大変心もとない状況にあると言えます。
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