私にとってのリスボンとポルトガルの魅力(2)

今回は移住して気づいた、リスボンという街とポルトガルという国の魅力について書かせていただきます。
私どもは2018年暮れにこちらに参りましたのでリスボンに住んでまだ4年、これだけの年数で多くを語れる資格はありません。そこでリスボン、ポルトガルに20年以上、中には40年以上在住の複数の日本人の方からの情報も交えて書かせていただきました。

(1)都市景観の豊かさ、ローカル色の多様性

 私どもはリスボン市の西南端のベレン地区に住んでおります。住宅地であると共に、近くに世界遺産が2つもあるので観光客がたくさん集まる地域でもあります。

 
 家を出て2、3分で自動車専用道路に入ると街の中心部まで10分ほどで到着します。一般道に入って進むと、景観の変化に驚きます。市内を車で5分も走ると別の街に来たかのような思いがします。

 
 東京で車で移動する際の街の見え方とはかなり異なります。坂が多いことも景観の変化に拍車をかけていると思います。

 さらに国全体で見ると、南北に長い国土は景観の変化に富み、各地方の郷土料理、ワイン、チーズの個性が際立っています。さらにマデイラ島、アゾレス諸島も自然景観豊かで、日本の4分の1ほどの面積にこれほど多様な景観と文化が凝縮されていることに驚くほかはありません。

(2)ポルトガル人の気質

 自分の性格をさておいて、人様の気質を論じるのは僭越おこがましいのですが、ポルトガル人にはほとんどマイナス面を感じたことはないのであえて書かせていただきます。

 ポルトガル人はラテン系ですが、少なくとも私がこれまで考えていたラテン系の気質とは少々異なりました。

どちらかというと控え目でシャイなところは、日本人と通じるものを感じます。

 最初のとっつきは無愛想に見える人も少なくありませんが、打ち解けると最後は満面の笑みを浮かべてくれる人に数多く出会いました。

 それから、とにかく親切で優しいです。周囲の人をよく見ていて、困っているとすぐ助けが飛んでくることしばしばでした。ある会社を訪問したところ、守衛さんが英語が話せず困っていたら、守衛さんが英語を話せる通行人の人を連れてきて、私を会社の中まで道案内してくれたことがあります。

 行き止まりの道路で立ち往生していたら、遠くからご老人が行くべき方向を指で指し示してくれました。スーパーのレジで並んでいると、どこからともなく人が飛んできて、空いているレジに案内してくれるなど、親切心は日本人に負けないくらいです。

 そして細やかな心遣いも日本人に相通じるものを感じます。親切で優しい、これが私がこれまでポルトガル人と接して感じた印象です。


(3)言葉

 ポルトガルの母国語はポルトガル語です。ブラジルのポルトガル語とは少々異なり、しかもブラジル人より早口です。声も大きい人が多いですが、先にも書かせていただいた通り、親切で穏やかな国民性です。


 ポルトガル語を知って入れば生活に不自由しませんが、リスボンではかなり英語が通じます。こちらがカタコトのポルトガル語で挨拶しても、英語で返事してくる人も少なくありません。

 リスボンに長く住む日本人の方によると、ポルトガル人にとっては英語が話せることがステータスで、外国人と英語で話すことに抵抗がないようです。

 リスボンに20年以上住む英国人で、全くポルトガル語が話せない人がいるという話を聞いたことがあります。


 一方、地方都市に行くと、英語を話せる人の率は少なくなります。

 従って、リスボンに住む分には英語が話せればそれほどの不自由はなく、地方都市に住む場合はポルトガル語をある程度習得しておいた方がいいと思います。

 私どもも、ビザの更新で地方都市の移民局に出向いた際に、通訳の方と3者通話で切り抜けたことがありました。

 ポルトガル語の音は、ラテン系の言語の中でも、日本人には少々手強いですが、一方ポルトガル語をある程度習得すれば、他のラテン系言語を制覇することも夢ではないように思います。

(4)食事の美味しさ、食材の新鮮さ

 ヨーロッパ料理の中には、日本人の味覚とは少々異なるものもありますが、ポルトガルは日本人の味覚にかなり近いように感じています。それに加え、食品の安全基準は日本よりはるかに厳しく、スーパーで売られている果物や野菜も新鮮です。大型スーパーではバイオ食品のコーナーがあるお店もあるので、選択肢も広いです。


 本ブログの「レストラン・カフェ」の項にも書かせていただきましたが、日本の食材を扱っているお店や日本食のレストランもあり、特にお寿司は非常に盛んなのに驚きました。

 アイルランド沖で獲れるマグロや北海のサーモンなど、日本の高級料亭や高級レストラン向けに輸出されるものもあり、ファストフードから高級店まで、なかなかの味です。

 なおポルトガルは、ワインのひとりあたりの消費量は世界一で、同じく魚の消費量はヨーロッパ一です。

(5)気候

 ポルトガルは地中海性気候で、年間を通じて気温の上下が少なく、特に夏場の湿度が低いので過ごしやすいです。夏は日差しが強いですが、日陰に入ると涼しく、東京の夏のような湿度の高い蒸し暑さはありません。

 10月からは地中海性気候特有の雨の季節に入ります。冬場もそれほど気温は下がらず、リスボンでは雪は降らず、ポルトガル全土でも雪が降るのは山岳地帯など僅かな地域のみです。

写真はベレン文化センター(Centro Cultural Belém)内にある、レストランEste Oesteのテラス。天気の良い日は屋外の席が気持ちいいです。

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