東宝映画の若大将シリーズを久しぶりに全編視聴しました。
小学生の頃に映画館で見て、その後DVDなどでも何度も視聴しているのですが、
高度成長期真っ只中の日本が懐かしくなった時に、再生してみるのです。
加山雄三さんは当時若者の憧れのスーパースター、相手役の星由里子さん、
酒井和歌子さん、坂口良子さんは東宝を代表する美しい女優さんでした。
それぞれ映画の中では澄子役で澄ちゃん、節子役で節ちゃん、純子役で純子さんと
呼ばれていました。
若大将こと京南大学の田沼雄一は、主演の加山雄三さんの実像と重なることが多かった
こともこの映画の人気が出た要因の1つでしょう。
さらに田中邦衛さんが演じる青大将の役回りもこの映画の魅力の1つでした。
現代の映画では、金持ちのボンボンをあれほどまでに強烈に表現できないでしょう。
若大将の実家である麻布の老舗すき焼き屋「田能久」の主人であるお父さん、そして亡く
なったお母さんの母親であるおばあちゃん、妹の照子、同級生の江口もレギュラー出演者でした。
お父さんは有島一郎さん、おばあちゃんは飯田蝶子さんという往年の名優、そして照子は
宝塚出身の中真知子さん、江口は江原達怡さんが演じています。
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そのほか、久慈あさみさん、団令子さん、北あけみさん、藤山陽子さん、若林映子さん、
前田美波里さんなど、あの時代を代表する女優さんも多数出演されていました。
そしてこのシリーズを支えたのは、後に東宝映画社長となられた名プロデユーサー藤本真澄氏、
脚本家の田波靖雄氏や笠原良三氏、杉江敏男監督などの力量によるものです。
加山雄三さんは若大将のイメージが強いですが、同時期に黒澤明監督の「赤ひげ」や成瀬巳喜男監督
の「乱れ雲」など多数の映画で名演技を見せています。
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドーのイメージが強い一方で、全く別の映画でも名演技を見せ
ていることに通じるものを感じます。
シリーズが進展する中、日本の高度成長期を象徴するかのように、電卓や電子レンジが登場したり、
国産車の新しいのが出たり、そして江口と照子が接近する様子が見て取れます。
ハワイの若大将は日本で海外旅行が自由化する前の海外ロケ、アルプスの若大将、南太平洋の若大将、
リオの若大将は自由化されて多くの日本人が海外旅行に飛び出し始めた時代の作品でした。
私がこのシリーズで一番好きな作品は「アルプスの若大将」です。母親と映画館で見た際に、若大将と澄ちゃん
が初めて出会い馬車に乗る場面が印象的で、いまだに鮮明に覚えています。
大人になってからこのシーンを再生したら、ツエルマットのKirchbrücke(通称日本人橋)であることが
わかりました。
その後のシーンで、ふたりは澄ちゃんの運転する赤いアルファロメオ・スパイダーでトゥルビヨン城、
シオン城を左手に見て夕暮れ時のジュネーブに到着します。
当時はパンアメリカン航空が世界の空を制覇していた時代で、この映画も同社がスポンサーになっていました。
アルプスの若大将では澄ちゃんは同社のローマ支店勤務役、南太平洋の若大将ではスチェワーデス役でした。
大相撲のヒョーショージョーで知られていたパンアメリカン航空極東地区広報支配人のデービッド・ジョーンズ
もローマ支店の澄ちゃんの上司役で出演されていました。
出演者の方の中にはすでに故人になられた方もいらっしゃいます。パンアメリカン航空も1991年に倒産しました。
私にとって子供の頃に映画館で、憧れのお兄さん、お姉さんである若大将と澄ちゃんに出会えたこと、学生時代に
パンアメリカン航空の世界一周便に乗れたことが幼い頃、そして若き日の良い思い出です。
昔を懐かしんでばかりはいられませんが、あの活気と夢のあった日本をもう一度取り戻したいと感じる昨今です。
横井英夫
追伸 写真は「アルプスの若大将」より引用。若大将が突然訪問してきて驚くウィーン支店勤務の澄ちゃん。
映画で若大将が泊まった、ウィーンのパンアメリカン系列のインターコンチネンタルホテルは新築になった模様。
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