ガザの再建と、住民の再定住は中東和平への第一歩

 ドナルド・トランプ大統領のガザ地区をめぐる発言について明確にしておきたいのは、トランプはパレスチナの住民を祖国から追い出すなどとは一言も言っていないということです。

 瓦礫の山となったガザの街を再建する間、住民を別の場所に一時的に退避させ、再建の後に再定住してもらうという提案です。

 ドナルド・トランプが大統領専用機の機内で、記者団にclear outという言葉を使ったことが、左翼メディアの偏向報道で「追い出す」という意味に解釈されたように思います。

 しかもそれに続くガザ住民の帰還時期についての質疑に対して、トランプが明言を避けたことも正しく伝わっていないように思います。

 その証拠にホワイトハウスのレビット報道官やルビオ国務長官も、住民の避難はガザ地区を再建する間の一時的なものであると語っています。

 ドナルド・トランプのガザに対する構想を想像すると、ガザの住民の生命維持と生活の再建を優先課題とした人道支援と、将来に渡ってガザの住民の生活の質の大幅な向上を目指しているのではないかと思います。

 何しろガザの街は瓦礫の山、水資源が圧倒的に不足している上、食糧支援は届きずらく、若者の失業率は高く、宗教上の理由から少なかった自殺者も増え、人道上の観点からとても放置できるような状況ではないのです。

 さらにテロ集団のハマスが実効支配している状況で、パレスチナ人が自力でガザを再建することは不可能です。

  ガザは世界で最も人口密度が高く、現在も年3%の割合で人口が増えています。人口の半分近くが15歳以下の子供で、イスラエルが建設した壁に囲まれ長年厳しい生活を余儀なくされてきました。

 今回イーロン・マスクがUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)を解体したことで、アメリカからハマスやヒズボラに戦闘資金が送られる心配もなくなり、アメリカがイスラエルへの軍事支援をやめればイスラエルによる攻撃も収まり、ガザの再建は着実に進められます。

 イスラエル側が今回トランプの提案にあっさり合意したのは、恐らくオバマ政権とネタニエフが結託してCIAを使ってシリアのアサド政権転覆を狙ったことをトランプに知られたからではないかと思います。
 
 ネタニエフがトランプの大統領就任式に呼ばれたにも関わらず、直前になって中止したのは、トランプがアサド政権の件をXで拡散したからという話があります。ここ数日のトランプとネタニエフの関係を見ると、両者の間に火花が散っている様子が窺え、シリアの件でトランプはネタニエフをうまく交渉の土俵に乗せたのでないかと想像します。

 いずれにしてもパレスチナ問題は、和平交渉など従来のやり方では恐らく未来永劫解決には至らないでしょう。宗教、民族、土地という建前上の問題だけでなく、戦争屋の存在と水資源戦争という要因を抜きには和平への道は考えられません。
 
 ガザ地区再建のためにアメリカが土地を管理することは、他国の干渉、妨害を避けるためには避けて通れず、不動産屋的発想という的外れの説明には呆れて物が言えません。

 パレスチナ問題は、学校の教科書やマスメディアが報道する宗教、民族、土地にまつわる歴史的事実だけに注目しても決して理解できるものではなく、中東における水資源の争奪戦や戦争屋の資金提供など、各国の利害や思惑が絡む複雑多岐な要因を紐解かないことには判断が極めて難しいと言えます。

 かつてベイルートが中東のパリと呼ばれたように、地中海に面したガザに淡水化技術などの水資源の確保と近代的都市空間を構築できれば、これまで辛い生活を強いられてきたガザの人たちに素晴らしい生活環境が与えられえるのではないかと期待します。
 
 私は、今回アメリカがガザの再建と住民の一時的避難を提案したことは、パレスチナ問題解決と中東和平への新たな道筋につながることを確信しています。

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