強いチーム作りのための知恵 - 遠くに行きたければ仲間と行け –

 日本の会議において、大勢の参加者が机を取り囲み、ごく一部の参加者だけが議論に加わる場面に出会うことが少なくありません。時として、参加者が二重の輪を作っているケースもあります。
 時間がかかるばかりでなく、結論が曖昧だったり、あらかじめ決めれた結論に収束することも少なくありません。経団連の元会長土光敏夫氏が「会議は立ってやれ」とおっしゃった意味がよくわかります。
 私も欧州での会議を経験しましたが、議長が会議をマネージし、課題を次々とクリアし、時間通りにぴったり終わる手際の良さには脱帽したことがあります。

 会議はともかく、日本においては、組織のチーム作りがまだまだのケースが少なくありません。日本の高度成長期の管理職は戦前戦中派の軍隊出身者が多かったため、同じ釜の飯を食う仲間という意識で組織を牽引するリーダーが数なくありませんでした。アメリカにおいても軍の出身者から多くの企業経営者を生み出しました。この時期は社会環境からそうしたリーダーシップも致し方なかったと思います。最近の若者は仕事の後に飲みに誘っても連いてこないと嘆く管理職もいるようですが、時代の変遷とともに社会風土の変化に伴う若者の意識がが変化したので仕方ありません。

 ところで、何かを成し遂げるためのグループを作る際に、その手順について真剣に考えたことはあるでしょうか。ここではグループフォーメーションと呼ばれる手法をご説明します。
 ひとりで作業するのとは異なる、集団心理を応用した手法です。その目的はパフォーマンスを最大化し、そのグループの終わりをはっきりさせるためのものです。

第1段階:フォーミング
 グループフォーメーションの始まりは、全体が1つの集団になっています。この段階をフォーミングと呼びます。グループのメンバーがお互い初対面で表面上の付き合い、別の言い方をすレば意識レベルのつきあいです。名刺交換のような儀礼的なつきあいから始まりますが、実はほとんどのグループは実質的にこのレベルから脱しないままに終わります。従って、そのグループの持つ潜在的な能力を引き出せないままにグループの役割を終えてしまうのです。

第2段階:ストーミング
 ここではグループの感情があらわになる段階です。無意識レベルのぶつかり合いになり、これをリーダーがマネージしなくてはなりません。えてして日本の組織においては、リーダーがこの段階を仕切ることができないので、多くの場合に仲良しクラブに終始してしまうのです。グループ内の摩擦を避けるために相性のいいメンバーだけでグループ作りをすると、ストーミングが起きづらくなります。リーダーが意図的にストーミングを発生させることもあります。ストーミングの段階がないと、次のパフォーミングが発生しません。

第3段階:パフォーミング
 ストーミングの時期にメンバーが感情を出した深さが、パフォーミング、すなわちパフォーマンスの最大化の効果に影響します。ここに到達するための準備が第1と第2段階です。

第4段階:トランスフォーミング

 次の段階に移行させるための儀式的なものです。何事も目的を達成したならば、完了したことのくさびを打ち込む必要があります。SNSでグループを作って何もしないで放置するようなことは完了の儀式がないままにタスクが空回りしているので、良くない例と言えます。

 マサイ族は次のように言ったそうです。

「早く行きたければひとりで行け。遠くに行きたければ仲間と行け。」

 哺乳類は集団でしか生きらないようにできています。人類の多くの偉業が組織から生まれています。そこでグループを作るためのノウハウはかように大切なものと言えます。
 


 
 
 

 

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