円安の根底にあるもの

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、かつては有事に強いはずの円の価値がどんどん下がっています。

最初に確認しておきたいこととして、経済の基本は物の生産にあるのであって通貨の発行と流通にあるのではないということです。世界から通貨がすべて消えてしまっても、社会は混乱はするものの、お百姓さんが畑を耕せば食べるのには困らず、大工さんが汗を流せば家を建てられます。

通貨はそうした物の生産に裏づけられて発行されるべきものです。自国の生産力が高まれば通貨の価値は上がります。円高は輸出に影響すると言っても、原材料を輸入に頼る日本においては円高で原材料を安く買えるので、日本全体としては円高により明らかに国の経済力が高まるのです。

かつて金本位制の時代は、通貨発行の裏づけとして金の保有がありましたが、ニクソンショック以来世界は金本位制から信用経済に移行しました。そのような中で通貨を刷り過ぎたことによる様々な問題が発生したのです。

さて円安に話を戻しますが、アメリカの金利引き上げなど様々な説明がされていますが、根底にあるのは日本の生産力の低下です。すでに何年も前から円安の要因はあったのです。
従って日銀の為替介入などは一時しのぎに過ぎず、中長期的な生産力の回復なくしては円安は止まらないでしょう。

かつては日本の経済を支えるであろうと予想された半導体産業は海外に市場を奪われ、ITもそのほとんどがアメリカが市場を席巻しています。

かつては自動車、家電、カメラをはじめ卓越した技術力と生産力で世界第2位の経済大国の地位に上りつめた日本がここまで経済力を低下させた原因は何故でしょうか。

私は画一化を志向する日本社会と知育偏重の教育にあると思います。それを支えてきたのが官僚制度と政治家の志の低さと言えるでしょう。

日本人の優秀さは、海外に出て改めて感じます。それだけに日本社会特有の個を尊重しない社会風土の変革の必要性を痛感せざるをえません。

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