海上保安庁の救助の遅れと、国交省の検査の杜撰さについて 

2022年4月23日に発生した、知床の遊覧船で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするともに、まだ救助されていない方々のご消息が一刻でも早く判明することをお祈りします。

 真の事故原因が判明するまでは、原因や責任の所在については軽率な判断は避けるべきですが、少なくとも遊覧船の会社の杜撰な運行管理と、船長の判断には大きな問題があったことは間違いないでしょう。

その一方で、リスボンで日本のテレビニュース報道を見た限りにおいては、海上保安庁の救助活動の遅れや、国交省の検査の杜撰さについてはほとんど指摘されていないことに疑問に感じました。海上保安庁のヘリの現場到着が3時間もかかったことについては、給油や救難装備の搭載などの理由が明らかにされていますが、結果的に海上保安庁の救助活動は何の役にも立たなかったことになります。一刻を争う今回の海難事故の一報を受けた際に、千歳の航空自衛隊との連携を含め、どのような指示が出されてたのでしょうか。 

一方、事故後に国交省の立入検査を受けた、他の船会社のスタッフが、国交省が書類ばっかりの検査に終始したために今回の事故が起きたことを指摘していますが、通信手段を衛星電話から携帯電話に変えることを許可したことを含めて、現場の運行体制を全く把握していなかったことに怒りを覚えます。 

今回救助されて死亡が確認された乗客の方の中には、救命胴衣を着用された方もいらっしゃったと聞きます。この方々は海上保安庁の到着が3時間もかかるとは夢にも思わずに、救助に期待を寄せて凍りつく海の中で想像を絶する辛い時間を過ごしたことでしょう。 

今回のような海難事故が再び発生した際、そして万一の有事の際に、果たして国は国民の命を守れるのでしょうか。 今は責任の所在を追求するよりも、乗客の方の救助を急ぐべきべきですが、マスメディアは然るべき時期に、国の海難救助や検査体制について厳しく追求すべきだと思います。 

失われた命は取り戻せませんが、事故原因と救助体制、検査体制を徹底的に検証し、再発防止に繋げることが、犠牲になられた方々へのせめてもの償いになるのではないでしょうか。 

犠牲になられた皆様、冷たい海の中でさぞかしお辛かったことでしょう。暖かい天国に向かって、安らかな眠りにおつきください。                     合掌。

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