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日本で世界でどう生きるか(4)

    国連難民高等弁務官そしてアフガニスタン支援政府特別代表を歴任された緒方貞子氏の「テロの原因は憎しみの連鎖」」という言葉は私にとって衝撃的だった。それはテロの本質を語っているだけでなく、戦争をはじめとする争いごとの本質を物語っていると気づいたからである。争いの始まりは必ずしも憎しみだけではない。道理を超えた欲望に端を発することも多い。しかし争いが始まった後に、憎しみの連鎖が始まるとそれを止めるための知恵とエネルギーは計り知れない。

憎しみと復讐の対極にあるのは赦し(許し)である。
近年それが最も端的に表現されたのが、南アフリカ共和国大統領ネルソン・マンデラ氏の赦しであろう。反アパルトヘイトの闘士だったマンデラ氏は全人種の融和策を政策として打ち出した。一言で言えば白人を赦し、黒人の白人への復讐で国家が混乱することを未然に食い止めたのである。

    話は変わるが、もう何十年も前、母が私に1つの新聞記事を見せてくれた。それは妻を交通事故で亡くしたご老人の談話だった。ご老人が加害者である若者を許すに至った深い心の変遷を描いた手記である。最初は若者を憎んだが、自分も同じ年の頃には数々の過ちをおかしたことを思い、まだ将来のあるその若者を許すことにしたというのである。

母も私もこのご老人の生き様に感動したのだが、いま振り返るとその若者にも老人の心を動かす反省と謝罪の言葉があったのではないかと想像する。

最近日本で生活していて感じるのは、謝罪の言葉が少なくなった点である。ありがとうございますという言葉はよく聞くが、ちょっとした会話のやり取りの中に申し訳ございませんの言葉が発せられないもどかしさを感じる事が多々ある。特に若年層に顕著である。当方にさんざん迷惑をかけた営業職の若者が最初に送ってくるメールの冒頭が「先日は大変申し訳ございませんでした。」ではなく「先日はありがとうございました。」で始まっているのを見るにつけ、世相の複雑さを感じるのである。

私はたった数十年の間に日本人の本質が変容したとは思わない。そうではなく国家や組織のリーダーのあり方によって、日本人のコミュニケーションのあり方に変容が生じたように思う。
明らかな不正に対して国民に謝罪しない政治家、過去の過ちに対して謝罪しない国家、このようなリーダーが牽引する社会の歪みが日本人のコミュニケーションの根底を揺らがせているように思う。

私自身、先のご老人のような寛容で清々しい心の境地に達しているとは到底言い難い。しかし赦しということの奥深さと本質的な意味に生涯向き合って生きて行きたいと思う次第である。

昔から言い伝えられる「罪を憎んで人を憎まず」という言葉の中に、赦しの本質が潜んでいるように思えてきた昨今である。

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