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日本で世界でどう生きるか(20)

 地上から夜空を眺めると、月や星の背景に暗黒の宇宙が広がっているのが見える。その漆黒の広がりの奥行きまでは普段意識することはない。ところが宇宙飛行士が宇宙空間から見た宇宙の果てには、永遠の闇が広がっていたそうだ。

物心ついてからは、自分自身が宇宙空間を体験したいと思うことはなかった。ところが80年台前半に立花隆氏のノンフィクション「宇宙からの帰還」を読み、宇宙飛行士の月面上から見た地球の背後に広がる永遠の闇、そしてあたかも生き物のような地球の息遣いのことを知り、猛烈に宇宙空間に出たくなった。

 「宇宙からの帰還」は、アメリカの宇宙飛行士が宇宙空間で何を見たか、何を感じたかについてのインタビューと共に、その後の人生をどう辿ったかについても取材している。宇宙飛行士をリタイヤして牧師になった者、ノアの方舟の探索を始めた者など、宇宙での体験ですっかり人生観が変わってしまった宇宙飛行士が少なからずいたことに驚いた。

その後、ワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館のIMAXシアターで、「Blue Planet」を見てからは宇宙空間への憧れが増した。「Blue Planet」はスペースシャトルから撮影した地球の映像なのだが、IMAX方式ならではの高精細度と巨大なスクリーンのせいで、あたかも宇宙空間に身を乗り出して地球を俯瞰しているかのような錯覚に感動した。単なる視覚体験を越えた、極めてリアルな体験だった。
スミソニアンでは、アポロ計画の司令船を間近に見た。その際に何に驚いたかというと、驚くほどの小ささである。この狭い中に宇宙飛行士3名が乗り込み、巨大なサターン5型ロケットと共に地球を離れることを考えると、まさに冒険以外の何物でもないことを実感した。人類がこれほどの冒険をしてまで月にまで行こうと決意した動機は何なのか。危険と隣り合わせ、しかもその労力たるや計り知れない。

人間の脳は、太古の時代から心身の安定を保つための機構が備わっている。自ら命の危険を回避するためである。それが故に、人は変化を本能的に恐れる。それなのに何故生きることに直接無関係なこと、しかも危険な変化をあえてするのだろうか。

哲学者ハイデガーは「退屈論」の中で、3種類の退屈について述べている。1つ目の退屈は、田舎の駅のホームで長い時間列車の到着を待つような退屈。2つ目は、家で勉強をしていたら友人からパーティーの誘いの電話がかかってきて、小一時間パーティ会場で時間を潰して帰宅した後に、あれもやはり退屈の一つだったのだと気づくような退屈。3つ目は、休日の午後、何もすることがなくて街に出てウインドウショッピングをしているような退屈である。この3つ目の退屈に向き合うことで人はその本質に迫ることができるというものである。

岡本太郎画伯が何故創作活動をするかの質問に対して、「人生があまりに退屈だからだ。」と答えている。退屈というのは、あまりに日常的でとらえどころのない感覚が故に、ハイデガーが説くようにそこに人生の本質が内在しているのだろうか。

ここで人の進化について考察すると、ダーウインの進化論における自然淘汰説は、今日では覆され、進化の源が強い「意志」によるものではないかと推測されるようになった。すなわち魚が陸に上がりたいという願望が、陸上の生物への進化を促したという説である。意志というのは、言いかえれば「欲」とも言える。そしてそれは退屈を紛らわすためのものなのだろうか。

ニーチェが「ツァラトゥストラはかく語りき」の中で生活の安定や快適という類の幸福を求める一般大衆を「畜群」と呼び、自らの意志で生きる超人への転換を促したのも、本質的な進化のプロセスを意識していたような気がする。「退屈」という言葉も、そこから生じる「欲」という言葉も得てして誤解されやすいが、人の進化の本質が内在されているように感じる昨今である。

写真は、長時間フライトにおける「退屈」の始まりである。

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