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日本で世界でどう生きるか (14)

 私は「待機児童問題」という言葉にずっと違和感を感じていた。待機児童問題を解決すること、すなわち待機児童が保育所に入れるようになることが、子供にとって家族にとって本当に幸せなのだろうか。父子家庭、母子家庭、あるいは共働き家庭にとって、経済的理由から保育所が必要なことは理解できる。しかしこれを一律に「待機児童問題」という観点で語り、そこに解決を求めるのは無理があるのではないか。

私が幼稚園から小学校に上がる時期に重なる日本の高度成長期、「カギっ子」という言葉が生まれた。カギっ子とはその名の通り、帰宅時に家人の留守が常態化している子供のことである。大人の目の届かないところで子供が放置されることで、情操教育上も安全上もカギッ子は当時社会問題だったのである。
当時の調査によると共働をする理由として、生活に困っている世帯よりも、さらに収入を得たい世帯の方がはるかに上回っていることがわかった。それに加えてカギっ子が増加した原因として、戦後の核家族化もひとつの要因と推測された。

 今日、少子化によりカギっ子の絶対数は減っている。しかし女性のフルタイム労働化やひとりっ子世帯の増加などで、カギっ子化はより進んでいるとのことである。それを解消するのが保育所という理屈なのだろうが、私は子供にとって親との濃密な時間を過ごすことは極めて大切だと思っている。学校や保育所では教えることのできないこと、すなわち親の躾やその家独自のあり方というものがある。

ところで専業主婦世帯の貧困を招く要因として、一般の生活費よりもむしろ塾の費用が大きいそうだ。それと同時にカギッ子がひとりでいる時間を解消する一つの手段が塾なのだそうだ。日本の歪んだ受験システムも、カギッ子を助長する悪循環の要因となっているのだ。

念のため申し上げておくが、私は共働き家庭よりも専業主婦家庭の方がいいと言うつもりは毛頭ない。冒頭にも書かせていただいた通り、父子家庭や母子家庭における子育てや経済的な苦労は十分理解しているつもりである。要はそういうことではなく、親は子供を自分で育てることに責任を持つということを、今一度社会全体の共通認識にすべきだと言いたいのだ。これからの家庭と労働のあり方を、単なる待機児童問題という形で問題提起すべきではないと思っている。家庭の事情によっては子供と触れ合う時間が少なくなることが致し方ない場合でも、親が子供に直接向き合う姿勢は常に怠るべきではない。

海外に目を転じると、日本と同様男性が外で働き女性が家を守る伝統的価値観を重んじてきたフランスにおいても、日本よりさらに女性の社会進出が進み、専業主婦の数が減っている。スウェーデンを筆頭に先進国はおおむね同様の傾向にある。女性の社会的地位の向上や職業的な選択肢の拡大は喜ばしいことではあるが、それと並行して家族のあり方が問われるのではないかと思う。欧米では特に富裕層がベビーシッターに子供を預けるケースが少なくないが、こうした家庭で子供が非行に走るケースを少なからず見聞きしたことを、子供の頃に母から聞いたことがある。日本の家庭においても夕食の時間が家族でばらばらな世帯が増えていることを聞くにつけ、地域社会のみならず家族という共同体が崩壊しつつあるのではないかと、薄ら寒く感じる。

東京の猛暑、乳児を乳母車に乗せて炎天下を歩き回る母親、深夜のファミリーレストランに乳幼児を連れて長話にふける母親など、ひと昔では考えられない光景に出会うことがある。経済的理由ではなく自分が遊びほうけるため、あるいは不要不急の習い事をするために子供を保育所に預ける女性も多いと聞く。子供は親のアクセサリーではない。親が自ら子供を育てるという当たり前のことを、世の無責任な親たちは今一度肝に命じるべきではないのか。現代の子供達は、歪んだ消費社会の犠牲者になりつつあるように思えてならない。

女性が輝く社会、1億総活躍社会といった歯の浮くようなスローガンではなく、まずは子供が親からの愛情を十分注がれることのできる社会を目指すべきではないだろうか。そしてそれを支える家族という共同体、地域社会という共同体の重要性を社会全体が再認識すべきではないのか。もしそのことを阻害する要因が家計にあるのであれば、保育所よりも先に日本の不況解消、低賃金解消、歪んだ受験システムの解消を優先課題とすべきではないのだろうか。

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